「助けて!」離岸流からの救助“緊迫の一部始終”背景に深刻なライフセーバー不足【サンデーステーション】(2024年7月29日)

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Published 2024-07-28
夏休みに入り、水の事故が絶えません。全国の海水浴場が抱えている、ある深刻な問題を取材しました。

■沖に流された親子…救出の一部始終

こちらは宮崎市内の海岸で撮影された映像。離岸流に流された親子が救出されるまでの一部始終が収められています。
「助けて―!」
サーフィン中、突然、助けを求める声が。
(撮影者)「大丈夫?」
浜辺から遠く離れた沖の方には、流されたとみられる女性と幼い子どもの姿が。
(撮影者)「大丈夫?大丈夫?落ち着いて!ゆっくりゆっくり」
(動画を撮影した中川尚大さん)「結構大きな声で『助けて』っていう声が聞こえたので、岸の方を見てた時に、溺れている親子を2人見まして、これはまずいなと思って」
動画を撮影した中川尚大さん。当時、浜辺には監視員やライフセーバーなどはいませんでした。中川さんはたまたまライフセーバーの経験があったため、無事、親子2人を救出することができたそうです。
(動画を撮影した中川尚大さん)「本当に水というのはすごい危険で思っていた以上に、何もできなくなっちゃうので、突然溺れることがありえます。ライフセーバーのいる海がやっぱり安全だと思うので」

■40人→4人に…海の“守護神”が激減

酷暑が続く日本列島。今月すでに83人が水難事故に遭っており、さらなる増加が危惧されます。しかし今、全国の海岸では深刻な問題が―。ここは海水浴場の数が日本一の新潟県。他県からの海水浴客も多く年間約100万人が訪れます。
(柏崎ライフセービングクラブ理事池谷薫さん)「(柏崎では)40人以上のライフセーバーが大学生としていたんですけれども、今は4名になってしまって…」
実は今、ライフセーバーの数が激減しています。柏崎市ではこれまで10カ所の海水浴場にライフセーバーを配置していましたが、今では5つに。さらに、毎日常駐させていたライフセーバーも休日だけとなりました。ライフセーバーは命を預かる大事な仕事。その負担は1人1人に重くのしかかります。
ライフセーバーが発見したのは、波消しブロックの上で遊ぶ海水浴客。過去には間に落ちて死に至ったケースもあります。
「大丈夫ですか?けがなどされなかったですか?」
「大丈夫でした。大変ですね」
「帰れますか?」
「いや分かんない」
すると今度はあるグループに声をかけます。
「お酒を飲むと、平衡感覚なくなるのと、お酒を飲んだら…」
「飲まなくても平衡感覚もうないって」
「お酒を飲んだら海に入らないようにお願いします。」
「はい」
「飲んでいく?」
「さすがに…」

海岸の監視も、ライフセーバーの数が少ないため、休む時間を削りながら対応します。
(柏崎ライフセービングクラブ生越丈太郎さん(20))「今日も人手不足でギリギリ、人数組めたって感じですね。お客さんがいっぱいになってくるとやっぱり人が多いほうが絶対目も届くので」
一体なぜ、ライフセーバーは不足しているのでしょうか。
(柏崎ライフセービングクラブ理事池谷薫さん)「少子化もそうですけど、コロナ時期に大学生がライフセーバーの活動ができない。空白の4年5年が経過してしまって」
ライフセーバーはそのほとんどが、ボランティア。本業の傍ら行っている社会人と夏休みの大学生で、運営しているのが現状です。そこにコロナ禍が重なり、人材の育成ができず一気にライフセーバー不足に陥ってしまったのです。

■地元“海の子”育成&ドローン監視に挑む

静岡県下田市。こちらの海岸では、将来的な人手不足を見据え、新たな取り組みを始めています。
(ドローンアナウンス)「こちらは、ドローンパトロールです」
注意喚起を行うのは「ドローン」。下田市では今年の夏から導入しました。
「左行きますか、左行って正面ですぐ後ろから声かけます」
浜辺からは死角になっている岩場の後ろも見ることができます。将来的にはドローンの活用で、迅速な救助と、少人数での監視を目指しています。さらに、こちらの団体ではライフセーバーの資格を取得する費用の負担や、地元の子どもたちにライフセーバーの技術を教えるなどの人材の育成も行っています。
(小学6年生)「(ライフセーバーが)いないと溺れた時に誰も助けられなかったらやばい」
(母親)「いてくれるのがあたりまえな感じで…」
下田市でライフセービングを行ってきた山口さん。ここでは先進的な取り組みを行っていますが、ボランティアなどに頼る環境を改善しなければ根本的な解決にはつながらないと話します。
(下田ライフセービングクラブ理事長山口智史さん)「日本のライフセーバーは立場とか身分的なところがはっきりしていなくて、自治体任せになっているところがある。これから職業化していくのか、地域活動にしていくのか、そこが決まっていかないと将来像というのがなかなか描けないと思うんです」

7月28日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] news.tv-asahi.co.jp/

All Comments (21)
  • @MT-lz2ky
    人の命を守るライフセーバーがボランティア活動に頼っているというのはおかしいと思う
  • @akiyanagi.
    たまたまライフセーバーの経験があったため…  ↑ かっこよすぎない?
  • @LLLryee
    助かって良かったね。近くに好い人いて良かった
  • @user-cv3dx3lu2d
    自分も子供のころ離岸流に流されたことがあります。 浮き輪でぷかぷか浮いて、足がつくところで空を見上げていたら、突然早い流れに遭遇しました。 突然の出来事に戸惑い、必死に足と手を動かし岸へと泳ぎました。 でも流れが早く、手足も疲れてきて…そして段々と足先が冷たくなりました。 足がつかないところまで流されたと頭が真っ白になりました。 このままじゃ戻れないと思った矢先、ボートが近づいてくるのが見えました。 疲弊しきった自分を見て、浮き輪に付いている紐をロープで繋いで、岸近くまで連れて行ってくれました。 怒るわけでもなく、ただ『怖かったね、もう大丈夫』と言って沖に向かわれました。 あの時、通りかかってくれなければどうなっていたか。 名前も知らないあの時の釣り人さん、本当にありがとう。 でも、一年後また離岸流に遭遇し、今度は自力で脱出しました。 それからは、怖くて大人になるまで海に入れませんでした。
  • @user-bp4js7ph7f
    遊泳料を取ってライフセイバーのたしにすればいい これは自然な成り立ち
  • @虫屋根
    職業化した方がいい。働きに対してちゃんとした報酬が支払われれば、 やってみたいという人も出てくると思う。
  • @mekabugohan4373
    お母さんもよくちゃんと大きな声を出して助けを求められた👍 無事に助かってよかった
  • @user-hi1nf8tg1c
    助けられた親子はこのサーファーの人には一生頭が上がらないね。この人が居なかったら翌日のニュースで残念なお知らせになっていたかもしれないし。本当命の恩人だよ。中川さんに拍手を!
  • @yuho4964
    この人がいなかったら親子は今頃…スーパーヒーローだ
  • @naomijam2484
    私は、アメリカに住んでいますが、娘はライフセーバーのアルバイトをして、大学資金に役立てました。生命の大切さを学び、チームワークを学び、とても成長しました。ボランティアではなく、給料性にする事をお勧めします!
  • @NM-xk1rq
    何でもボランティアで賄おうとする貧乏精神が更に貧しくする
  • ライフセービング活動は大切な事ですから、ボランティアではなく自治体等で補助金や報酬を出してあげてほしいですね。
  • @walkinjapan6650
    飲酒して海水浴するのは、法律で禁止したほうが良い。
  • @razgriz350Z
    子供のころ、浮かんでるだけでどんどん岸から離れて行ったのを今でも覚えてる
  • ボランティアの人はなぜ無給でもやってくれるんだろう?疲れ日に焼けるしで割に合わないのに‥
  • 注意も聞かず困ったときだけスガリ付き、助けてもらっても感謝どころか「余計なお世話!」などと逆切れする時代。 ライフセーバーの激減は、コロナや少子化社会だけが原因だとは思えない。 親子は運が良かった。サーファーGJ!
  • @user-cq9bp9rw9y
    どこもかしこも自治体任せからの現場丸投げでボランティア無償みたいなのばっかり。 人の善意任せ。 日本だなって感じる。